伝え方の準備

初めて会う人に三十秒で挑戦を話す:クラウドファンディングの口頭の伝え方

 文:CROWDFUNDING SUPPORT 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

ページを書く前に、まず口で話せるようにしておくと、文章も発信も迷いません。三十秒で話せる型をつくる方法を紹介します。

結論から言うと、挑戦を三十秒で話せるようにしておくと、ページの文章も、SNSの投稿も、応援のお願いも、すべてが楽になります。話す内容は三つだけ。「何をするのか」「なぜするのか」「どう応援してほしいのか」です。この三つを、自分の言葉で、息継ぎ二回ほどで話せるように整えます。

クラウドファンディングの準備が進むほど、話したいことは増えていきます。しかし、初めて聞く人に長く話すと、肝心なことが伝わりません。この記事では、短く話す型と、練習の進め方をまとめます。

なぜ、三十秒の型が必要なのか

挑戦を人に話す場面は、思った以上にたくさんあります。

  • 道で会った知り合いに、「最近どうしてるの?」と聞かれたとき
  • 取引先や、地域の人に、お願いをするとき
  • 集まりで、自己紹介の時間をもらったとき
  • SNSの動画で、自分の挑戦を紹介するとき

こうした場面では、長く話せる時間はありません。三十秒で話せる型があれば、どんな場面でも、相手の関心に合わせて、必要な分だけ伝えられます。型は、ページの冒頭文や、動画の台本の土台にもなります。

三つの要素を、順番に書き出す

まず、紙に次の三つの問いの答えを書きます。短く、一文ずつで構いません。

要素問い書き方のコツ
何をするのかこの挑戦で、何が実現しますか名詞と動詞で、具体的に。「場所をつくる」「曲を録音する」など
なぜするのかどうして、それを始めたいのですかきっかけや、思いを一つだけ
どう応援してほしいか相手に、何をしてもらえると嬉しいですか行動を一つ。「ページを見てほしい」など

書き出したら、三つをつなげて声に出してみます。三十秒は、おおよそ百二十字から百五十字の長さです。それよりも長ければ、削ります。難しい言葉や、専門の言い回しは、やさしい言葉に直します。

型に当てはめた例

たとえば、地域の人が集まれる場所をつくる企画なら、次のようにまとめられます。

「地元の子どもから大人までが一緒に集まれる、小さなステージをつくろうとしています。ここには昔から、人が集まる場所がなくて、ずっと残念に思っていました。完成したらぜひ遊びに来てほしいので、まずは、ページを見ていただけたら嬉しいです。」

三つの要素が、順番に入っています。話す側は、この三文を覚えるだけで、様々な場面に対応できます。実際の言葉は、人によって違います。大切なのは、自分の言葉で、自然に話せることです。

相手によって、言い換える

型ができたら、相手に合わせて少しずつ言い換えます。相手の関心に合わせた言葉を選ぶと、話が伝わりやすくなります。

相手強調することお願いの形
家族や親しい友人始めた気持ちと、どれだけ本気か応援の言葉をもらう、ページを見てもらう
職場の人や取引先企画の中身と、進め方広めてもらう、ページを見てもらう
地域の人地域にとっての意味、完成後の使い方協力や、見に来てもらうこと
初めて会う人何をするのか、一言でページを見てもらう

型の三つの要素は変えず、強調する部分と、お願いの仕方を変えるのがコツです。相手が興味を持ってくれたら、そこから詳しい話に進めばよいのです。

練習の進め方

型は、話すことで身につきます。次の流れで練習してみましょう。

  1. 書いた三文を、声に出して読む
  2. 紙を見ずに、自分の言葉で言ってみる
  3. スマートフォンで録音して、聞き返す
  4. 家族や友人に聞いてもらい、分かりにくい所を教えてもらう
  5. 直して、もう一度話す

聞いてくれた人に、「何をする企画か、分かった?」と聞いてみます。「分かった」と言ってもらえたら、その型は使えます。分かりにくい所があれば、そこが言葉の足りない部分です。

長さを変えて持っておく:十秒版と一分版

三十秒の型ができたら、前後の長さも用意しておきます。場面によって、使える時間が違うからです。

長さ使う場面入れる内容
十秒すれ違いざまの会話、SNSの一言何をするのか、だけを一文で
三十秒自己紹介、お願いの場面何を、なぜ、どう応援してほしいか
一分集まりでの紹介、動画三十秒の内容に、きっかけの場面と、完成後の様子を足す

十秒版は、三十秒版から「なぜ」と「お願い」を取り除いた形です。一分版は、きっかけとなった具体的な場面を一つ足します。たとえば「ある日、子どもたちが歌う姿を見て、舞台があったらと思った」のような短いエピソードです。足す内容は、実際にあった出来事だけにします。

よくあるつまずきと直し方

  • 話が長くなる:三つの要素のうち、どれかを削る。まず「何をするのか」を残す
  • 専門の言葉が多い:小学生にも分かる言葉に置き換える
  • 気持ちが伝わらない:「なぜ」の部分に、自分だけの理由を一つ入れる
  • お願いが曖昧:「応援してください」ではなく、「ページを見てください」と具体的にする
  • 早口になる:句点の場所で、一呼吸おく

話しながら緊張してしまうのは、自然なことです。緊張しているときは、話す速さを意識してゆっくりにします。ゆっくり話すだけで、落ち着いた印象になり、内容も伝わりやすくなります。

話したあとの、ひと言を決めておく

三十秒の話の後には、相手が質問をしてくれることがあります。よく聞かれる質問に、あらかじめ短く答えを用意しておくと、落ち着いて対応できます。

  • いつ始まるのか、いつまでなのか
  • どのくらいの金額を集めたいのか
  • 集まったお金で、何をするのか
  • どんなお返しが用意されているのか

これらは、そのままページに載せる内容でもあります。話す準備は、ページの準備でもあるのです。口頭での練習を重ねるうちに、書く文章も、自然と話し言葉の温かさを持つようになります。

型を使い込むうちに、聞く人の反応から学べることもあります。どの言葉で相手がうなずいたのか、どこで首をかしげたのかを、話した後に簡単にメモしておきます。うなずきが多かった言葉は、ページの冒頭文や、SNSの投稿にも使える強い言葉です。反対に、首をかしげられた部分は、別の言い方を探すサインです。

話した相手が質問をしてくれたときは、その質問自体が宝物です。質問は、読む人が知りたいことを教えてくれます。出てきた質問を集めておけば、ページのよくある質問の欄や、活動報告のテーマにも使えます。話す練習は、聞くことで磨かれていきます。

また、型を書いた紙は、チームで共有します。複数人で挑戦する場合、人によって説明の仕方がばらばらだと、聞く人が混乱します。三つの要素をそろえたうえで、それぞれの言葉で話すと、チーム全体で一貫した発信になります。

最後に、話し終えたあとの一言も決めておきます。「聞いてくれてありがとう。ページができたら、送りますね」のように、相手への感謝と、次の約束で締めると、気持ちのよい会話になります。

クラウドファンディング支援では、起案者が自分の言葉で語れるよう、公開前の準備から伴走しています。三十秒の型づくりや、言葉の整理から相談することもできます。

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