チームの進め方
担当が交代しても止まらない:クラウドファンディングの引き継ぎノートのつくり方
仕事や家庭の都合で、急に動けない日は誰にでもあります。そんなときも挑戦が止まらないように、一枚の引き継ぎノートを用意しておきましょう。
担当者が不在になっても挑戦を止めない一番の方法は、「いま何がどこまで進んでいて、次に何をするか」を一枚の引き継ぎノートにまとめ、更新の習慣をつけることです。ノートがあれば、代わりの人が10分ほどで状況をつかみ、その日のうちに続きを進められます。
この記事では、ノートに書く項目、更新のタイミング、渡し方、公開中の使い方を順番に紹介します。個人でも団体でも使える形にまとめました。
引き継ぎノートがあると安心な場面
クラウドファンディングは、準備から公開、終了後の報告まで、長い期間にわたって続きます。その間、担当者が動けなくなる場面は、思いがけず訪れます。
- 体調を崩して、数日間連絡が取れない
- 仕事や家庭の都合で、公開中の特定の日に動けない
- 団体の役員が交代して、新しい担当者が入る
- 発信を一人で担っていて、旅行や出張が重なる
こうしたとき、情報が担当者の頭の中だけにあると、周りの人は何から手をつければよいか分かりません。ノートは、いざというときの備えであると同時に、普段の打ち合わせの質も上げてくれます。チームでの役割分担を決めたあと、その内容を形に残す作業としても役立ちます。
ノートに書く八つの項目
ノートは、一枚に収まる量にします。長すぎると更新されなくなるので、次の八項目に絞りましょう。
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 1. 企画の一行 | 何を、誰のために、いつまでに | 企画メモの冒頭と同じ一文 |
| 2. 日程 | 公開日、終了日、報告の予定日 | 活動報告を書く日の一覧 |
| 3. 今の進み具合 | 終わったこと、途中のこと、まだのこと | ページ本文は確定、動画は編集中 |
| 4. 次の三つ | この先に必ずやることを三つまで | お礼状の確認、予告投稿、リターンの見積り |
| 5. 連絡先と窓口 | 問い合わせを受ける窓口、関係者の連絡手段 | 窓口は一つに決めて、代理の人も書く |
| 6. 素材の置き場 | 共有フォルダの場所と、最新版のファイル名 | フォルダの名前だけを書く |
| 7. 決めたこと | 話し合いで決まったことと、その理由 | 目標金額、コース、呼び名 |
| 8. 迷ったときの判断 | 誰に相談するか、決めてよい範囲 | この範囲なら代わりの人が決めてよい |
パスワードのような大切な情報は、ノートには書かず、管理する人だけが分かる方法で別に共有します。ノートには「どこを見れば分かるか」だけを書いておきましょう。
「次の三つ」と「判断の範囲」が要になる
八つの項目のなかで、代わりの人がもっとも助かるのは、4番の「次の三つ」と8番の「判断の範囲」です。
「次の三つ」は、やることを増やしすぎないための決まりです。十個も書くと優先順位が分からなくなります。今日・明日・今週のうちに必ず済ませることを三つに絞り、終わったら消して、次を書き足します。
「判断の範囲」は、代わりの人が迷って止まらないための目印です。次のように書いておくと、連絡がつかない間も動けます。
- 応援コメントへのお礼の返事は、決まった型で、代わりの人が送ってよい
- 日程の変更や、コースの内容の変更は、担当者の返事を待つ
- 支援者からの質問で、ページに答えが書いてあるものは、その案内を返してよい
- 答えが書いてない質問は、「確認して返事をします」と伝えて、窓口に集める
質問への答え方の型や窓口を一つに決めた決まりは、ノートには全文を写さず、その型を使う場所と、決まりの要点だけを置きます。
更新のタイミングと渡し方
ノートは、書いて終わりではなく、更新することで役に立ちます。更新の習慣を、打ち合わせや発信と結びつけましょう。
| タイミング | 更新すること | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 打ち合わせの終わり | 決めたこと、次の三つ、日程の変更 | 5分 |
| 活動報告を出したあと | 今の進み具合、次の報告予定日 | 3分 |
| 公開中の毎週の区切り | 支援の状況、返事待ちの質問 | 5分 |
| 担当者の予定が決まったとき | 不在の日と、代わりの人の名前 | 1分 |
渡し方は「読む」より「一緒に見る」
ノートを渡すときは、読んでもらうだけで終わらず、10分ほど一緒に見る時間をとります。画面を見ながら、「ここが次の三つです」「迷ったらここを見てください」と声に出して説明すると、受け取る側の不安が減ります。オンラインでも同じ方法でできます。
一度も使っていないノートは、いざというときに頼れません。公開前に、代わりの人が一度ノートだけを見て動いてみる練習をしておくと、足りない項目に気づけます。
公開中のノートの使い方
公開中は、1日15分の時間割で発信を続けると、仕事や家事と両立しやすくなります。この時間割も、ノートに入れておくと、代わりの人が同じ手順で動けます。
- 朝:新しい支援やコメントの確認(ノートの「返事待ち」を更新)
- 昼:お礼の返事と、予定した投稿の確認
- 夜:次の日の「次の三つ」を書き直す
担当者が不在の日は、ノートの上に「本日は〇〇さんが担当」と一行を足します。担当が替わる日が見えるようにしておくと、支援者への返事が遅れる心配が減ります。
終了後も、ノートは役目を続けます。報告の予定日、リターンの発送の段取り、お礼の連絡を引き継ぐための資料として、そのまま使えます。支援者名簿と合わせて、発送や連絡を一枚で管理できるようにしておくと、担当が替わっても迷いません。
団体で使うときの工夫
団体や教室、お店のチームで進めるときは、ノートを個人のものにせず、チームのものにします。次の工夫を入れると、役員の交代や新しいメンバーの参加があっても、スムーズに引き継げます。
- 代わりの人を先に決める:担当ごとに「もしものときの代理」を一人ずつ書き、本人にも伝えておく
- ノートの持ち主を決める:更新の最終確認をする人を一人決め、古い版が混ざらないようにする
- 用語をそろえる:企画の呼び名、コースの名前、ハッシュタグを一覧にして、誰が書いても同じ言葉になるようにする
- 決定の理由を残す:なぜそう決めたかを一行書いておくと、新しい担当者が同じ議論を繰り返さずに済む
団体で始める前の話し合いでつくる合意メモも、ノートの「決めたこと」の欄に転記しておくと便利です。合意メモは企画の背骨、引き継ぎノートは毎日の道しるべ。二つがそろっていると、メンバーが入れ替わっても、挑戦の向きが変わりません。
ノートの見た目は、整っていなくて構いません。大切なのは、一目で「いま」が分かること、そして誰でも開けることです。文字が小さすぎないか、専門用語が多すぎないかを、ノートを初めて見る人の目で、一度確かめてみましょう。
引き継ぎの設計も、伴走の一部です
クラウドファンディング支援は、プロジェクト設計、物語と動画・音楽、リターン設計、広報と伴走の四つの手伝いで、公開前の準備から公開中の発信、終了後の報告まで、起案者と一緒に進めます。代行ではなく伴走なので、日々の進め方も、起案者の暮らしに合わせて一緒に考えます。
流れは、ご相談→設計→準備→公開・伴走→報告です。準備は公開したい日の90日前から始めるのが目安で、料金はプロジェクトごとに相談のうえお見積りします。お問い合わせフォームやLINE(AtoNO Records)から、オンラインで全国どこからでもご相談いただけます。まずはクラウドファンディング支援のトップページをご覧ください。
よくある質問
一人で進める企画にも、引き継ぎノートは必要ですか。
一人でも役立ちます。家族や友人など、いざというとき頼れる人を一人決めて、ノートの場所を伝えておくと安心です。
ノートはどんな形で作ればよいですか。
一枚に収まる表や文書であれば、形は自由です。チーム全員が開ける場所に置き、最新版が一つだけになるようにしましょう。
書く時間がなかなか取れません。
打ち合わせの終わりの5分に、更新の時間を組み込みます。最初は「企画の一行」と「次の三つ」だけでも十分です。