リターン設計

リターンの届け方を比べる:手渡し・郵送・オンラインのどれにするか

 文:CROWDFUNDING SUPPORT 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

何を贈るかと同じくらい、どう届けるかは大切です。三つの届け方の特徴を比べて、企画と支援者に合う方法を選ぶ手順をまとめました。

リターンの届け方は、「手渡し」「郵送」「オンライン」の三つから、企画の性格と支援者の暮らしに合わせて選びます。近くの人が多く、会って渡す時間に意味があるなら手渡し、全国に広がるなら郵送、動画や音楽のように形がないものならオンライン。迷ったときは、複数の方法を組み合わせるのも良い方法です。

この記事では、三つの届け方の特徴を表で比べ、選ぶ手順と、ページでの案内の書き方を紹介します。

届け方は、リターンの設計の一部

リターンを考えるときは、中身に目が向きがちです。けれども、同じ中身でも、届け方によって、起案者の手間も、支援者の受け取りやすさも、大きく変わります。

届け方を決めずにリターンを並べると、公開してから「どうやって送ろう」と悩むことになり、届く時期の約束にも影響します。リターンの説明文を書くとき、名前・中身・届く時期・数量の四点をそろえますが、その「届く時期」は、届け方と一緒に決まるものです。

三つの届け方を比べる

項目手渡し郵送オンライン
向くリターン体験、お披露目への招待、地域の品形のある品、冊子、CD、お礼状動画メッセージ、配信、データ、名前を呼ぶ一曲
支援者の範囲近くに来られる人全国どこでも全国、海外にも
起案者の手間日時の調整、受け渡しの場の用意名簿、梱包、送り状、発送の作業制作と、届ける手順の用意
気持ちの伝わり方顔を見てお礼が言える手元に残る形で届くすぐに届き、何度も見返せる
つまずきやすい点都合が合わない人が出る住所の聞き漏れ、不在での再配達見方が分からない人への案内

どの方法にも良さとつまずきやすい点があります。つまずきやすい点は、準備の段階で先に手当てをしておけば、公開中も終了後も落ち着いて進められます。

手渡しで届けるときの工夫

手渡しは、支援者に直接お礼を伝えられる、いちばん気持ちの伝わる方法です。お披露目の場や、体験の日に合わせて渡すと、リターンそのものが思い出になります。

  • 日にちを複数用意する:平日と休日、昼と夕方など、選べるようにして、参加しやすくする
  • 受け渡しの場を決める:お店、教室、会場など、迷わず来られる場所に
  • 来られない人の代わりの方法を用意する:郵送に切り替える案内をあらかじめ書いておく
  • 当日の流れを決める:受付、受け渡し、ひとこと、写真の順に、迎える段取りを組む

体験型のリターンの当日は、参加してくれた支援者を迎える段取りが大切になります。名前の確認、席の案内、終わったあとの見送りまで、前もって流れを書き出しておきましょう。

郵送で届けるときの準備

郵送は、遠方の支援者にも等しく届けられる方法です。ただし、発送の作業は意外に手間がかかります。公開前から、次の段取りを組んでおきましょう。

  1. 名簿をつくる:お名前、住所、選んだコースを一枚に。表にまとめる
  2. 梱包の材料を決める:リターンの大きさと重さに合わせて、箱や袋を用意する
  3. 送り状の方法を選ぶ:郵便局や運送会社の案内ページで、サイズと送り方を確かめる
  4. 作業の日を決める:何日に、何人で、何件を発送するかを、日程表に入れる

発送の準備は、公開前から名簿・梱包・送り状の段取りを整えておくと、終了後に慌てません。費用は、送料・梱包の材料・作業の手間まで含めて、目標金額の積み上げに入れておきます。

数量には上限を設けると安心です。届けられる数から逆算して決めると、無理のない発送計画になります。

オンラインで届けるときの工夫

オンラインは、場所を選ばず、制作が終わればすぐに届けられる方法です。音楽や舞台のつくり手には、特に相性が良い届け方です。

オンラインの形内容の例準備すること
動画メッセージお礼の言葉や、制作の裏側を伝える動画撮影、字幕、見るためのリンク
ミニ演奏名前を呼ぶ一曲や、短い演奏の動画名前の聞き取り、録音・撮影
配信・オンライン説明会完成のお披露目や報告会を、画面越しに日時の案内、見られない人への記録
データの贈り物壁紙、音源、写真集のデータ保存先と、受け取りの手順

オンラインでは、受け取り方の案内が成功の鍵になります。スマートフォンが得意でない方にも、画面の写真つきで、見方を手順にして伝えましょう。リンクが開けない場合の連絡先も、あわせて書いておくと安心です。

選び方の手順と、ページでの案内

届け方は、次の順番で決めると迷いません。

  1. リターンの中身を一つずつ書き出す
  2. それぞれ、形のあるものか、体験か、データかを分ける
  3. 支援者が近くに多いか、全国に散らばるかを見積もる
  4. 手間と費用を表に入れて、続けられる組み合わせを選ぶ
  5. 届く時期を、届け方ごとに決める

決めたら、ページのリターン欄に、届け方を一言書きます。「会場でお渡しします」「ご自宅にお届けします」「オンラインでお届けします」と、短く具体的に。届く時期は、時期の幅と、遅れそうなときの知らせ方も添えておくと信頼されます。

複数の方法を組み合わせる場合は、同じ中身をどの方法でも選べるようにすると、支援者の事情に合わせられます。たとえば、お披露目の日の手渡しと、郵送を選べるようにしておく形です。

組み合わせの考え方:企画別の例

実際の企画では、一つの届け方だけで完結することはあまりありません。企画の種類ごとに、組み合わせの一例を整理しました。自分の企画に近いものを参考に、アレンジしてみてください。

企画の種類手渡し郵送オンライン
CDや音源をつくるお披露目の場での手渡し完成したCDとお礼状試聴用の音源、お礼の動画
舞台・公演当日の席の案内と、出演者からのひとことプログラムや記念の品記録映像の視聴
お店・宿の開業開店記念の席へのご招待お店の品、お礼状開業までの様子を伝える動画
教室・学びの取り組み体験会へのご招待活動の記録冊子活動報告会の参加

この表のとおりに揃える必要はありません。大切なのは、支援者が「自分に合う受け取り方」を選べることと、起案者が無理なく届けられることの両方です。迷ったら、まず一番小さな形から始め、公開中の反応を見て、お礼の方法を足していく進め方もあります。

終了後の発送や、お披露目の準備で慌てないよう、届け方ごとの担当者と作業の日を、日程表に書き込んでおきましょう。

届け方の設計も一緒に考えます

クラウドファンディング支援は、プロジェクト設計、物語と動画・音楽、リターン設計、広報と伴走の四つの手伝いで、体験や地域の品などのリターンを、届けられる形に整えていきます。伊豆山の野外ステージのクラウドファンディングでは、173人から1,000万円以上の支援が集まりました。

流れは、ご相談→設計→準備→公開・伴走→報告です。準備は公開したい日の90日前から始めるのが目安で、料金はプロジェクトごとに相談のうえお見積りします。お問い合わせフォームやLINE(AtoNO Records)から、オンラインで全国どこからでもご相談いただけます。まずはクラウドファンディング支援のトップページをご覧ください。

よくある質問

手渡しと郵送の両方を用意するのは大変ですか。

手間は増えますが、支援者が選べる安心があります。名簿に「受け取り方法」の欄を一つ足すと、管理しやすくなります。

オンラインのリターンは、金額を低くしたほうがよいですか。

制作の手間と、支援者に届く価値を基準に決めます。名前を呼ぶ一曲など、一人ひとりに向けたものは、特別な価値になります。

届く時期はどう書けばよいですか。

届け方ごとに、月の単位で幅をもたせて書きます。遅れそうなときに、活動報告で知らせる約束も添えましょう。