リターン設計

リターンの金額帯の考え方:入口・中心・特別の三段で並べる

 文:CROWDFUNDING SUPPORT 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

リターンの金額は、選ぶ人の気持ちに沿って三段に分けると決めやすくなります。入口・中心・特別の三段の考え方と、並べ方の手順をお伝えします。

リターンの金額は、「入口」「中心」「特別」の三段に分けて考えると、整理しやすくなります。入口は、気軽に応援の気持ちを届けられる金額。中心は、多くの人に選んでほしい金額。特別は、思い入れの深い人が選ぶ、特別な体験や形を用意した金額です。三段それぞれに「誰が選ぶのか」を思い描いて決めていくと、金額の根拠も自然に定まります。リターンの数は、まず少なめに始めて、必要に応じて足していくくらいが、ちょうどよい進め方です。

三段に分ける理由:選ぶ人の気持ちが違う

支援者がページを訪れるときの気持ちは、一人ひとり違います。「まずは応援の気持ちを伝えたい」という人、「リターンも楽しみたい」という人、「この挑戦にもっと深く関わりたい」という人。気持ちの深さに合わせて選べる金額が並んでいると、どの人も迷いなく選べます。

金額が一つか二つしかないと、気持ちと金額が合わない人は、そのままページを閉じてしまうことがあります。逆に、並べすぎても、選ぶのに疲れてしまいます。三段という考え方は、選びやすさと準備のしやすさの、ちょうど良い間をとる工夫です。

入口の段:気軽に応援できる金額

入口のリターンは、「この企画を応援したい」という最初の一歩のための金額です。内容は、お礼のメッセージ、活動報告の案内、完成後のご案内など、届けるのに手間がかかりにくいものにします。

  • 誰が選ぶ:企画を知ったばかりの人、友人・知人、遠方で応援したい人。
  • 内容の例:お礼のメッセージ、経過をお知らせする活動報告、完成の知らせ。
  • 気をつけること:件数が多くなりやすいので、届ける手間を小さくしておく。

入口の段があると、最初の応援を気軽に届けてもらえます。公開前に声をかける人を整理するときの考え方は、「応援してくれる人を整理する」の記事とも合わせて使えます。

中心の段:多くの人に選んでほしい金額

中心の段は、企画の「顔」になるリターンです。完成したものの一部をお届けする、体験に参加してもらう、地域の品を届けるなど、企画の魅力が伝わる内容にします。多くの支援者が選ぶことを前提に、準備と発送の負担を見積もっておきます。

中心の金額を決めるときは、「届けるのにかかる費用(制作費・梱包・送料)」と「企画を実現するために必要な金額」の二つを見ます。費用を見積もらずに金額を決めると、準備が進んだ段階で足りなくなるおそれがあります。目標金額の考え方は、「目標金額の決め方」の記事で、費用を積み上げて組み立てる方法を紹介しています。

  1. リターン一つあたりの費用(制作・梱包・送料など)を書き出す。
  2. その費用を引いた残りが、企画に使える金額になるかを見る。
  3. 中心の段を選ぶ人数を、無理のない範囲で想像し、準備できる数量かを確かめる。

特別の段:思い入れの深い人のための体験や形

特別の段は、数は少なくても、特別な体験や形を求める人のための金額です。完成したものの特別版、完成後のお披露目への招待、制作の場を見学できる機会、名前の掲載などが例として挙げられます。

体験型のリターンは、日程の調整や当日の迎え方に手間がかかります。「体験型リターンの当日の進め方」の記事のとおり、人数に上限を設けるほうが、一人ひとりを丁寧に迎えられます。また、お名前を掲載する場合は、「支援者のお名前を載せる企画」の考え方で、掲載の聞き方を事前に決めておきます。

特別の段を用意するときは、「自分たちが無理なく届けられるか」を最優先にしてください。魅力的だけれど届けるのが難しいリターンは、のちに自分たちを苦しめることになります。

費用から金額を決める:書き出しシートの使い方

三段の中身が見えてきたら、金額を決める作業に入ります。次のような書き出しシートを一枚つくり、リターンごとに埋めていくと、感覚だけに頼らずに決められます。

書く欄書き方
リターンの名前入口・中心・特別のどの段か分かるように
一つあたりの費用制作費・材料費・梱包材・送料を合計して書く
届けるのにかかる時間一つ詰める、一人を迎えるのにかかる時間
想定する人数多く選ばれそうな段は多めに、特別の段は少なめに
企画に使える金額金額から費用を引いた残り

シートを埋めてみると、「この金額では、届ける手間に見合わない」「この段はもう少し内容を足せる」といった気づきが出てきます。気づきに合わせて、金額や内容を少しずつ調整します。決めた金額を、友人や家族に見せて、「この内容でこの金額は、選びたくなるか」と聞いてみると、読み手の感覚との差が分かります。

金額の差が小さすぎると、段の違いが伝わりません。逆に差が大きすぎると、真ん中の段を選ぶ人が減ってしまいます。段ごとの内容の違いが、はっきり説明できる金額の差になっているかを、最後に確認しましょう。

並べ方と名前のつけ方

三段の内容が決まったら、ページ上の並べ方を整えます。金額の小さい順に並べると、読み手は上から比べやすくなります。中心の段には、「おすすめ」の目印を一つ置くと、迷う人の道しるべになります。

ポイント具体的な工夫
名前のつけ方「Aコース」より、「はじめの一歩」「一緒につくる」「特別な一日」のように内容が伝わる名前に
説明の長さ一つにつき、何がもらえるかを二、三文で。写真を添えるとより分かりやすい
届く時期リターンごとに「○月ごろ」と明記する
数量の上限数に限りがあるものは、上限を示す

名前に内容が入っていると、検索やSNSで共有されたときにも、何のリターンかが伝わります。呼び名をそろえる工夫は、「呼び名とハッシュタグをそろえる」の記事でも触れています。

三段を決めたあとの確認問題

最後に、三つの問いで全体を点検します。一つ目は、「入口の段だけを選ぶ人が増えても、企画を実現できる見通しがあるか」。二つ目は、「中心の段に魅力を感じてもらえる説明になっているか」。三つ目は、「特別の段は、届ける側の負担が大きすぎないか」。三つとも「はい」と答えられれば、三段の組み立ては整っています。答えに迷うところがあれば、その段の内容か金額を、もう一度見直してみてください。

公開前の見直しと、公開中の調整

金額帯を並べたら、公開前に友人や家族に見てもらい、「自分ならどれを選ぶか」「分かりにくい所はどこか」を聞きます。思いがけない感想が、金額の設定や名前の改善につながります。

公開中にリターンを見直すときは、すでに支援してくれた人に影響が出ない形で進めます。ページの直し方は、「公開中にページを直すとき」の記事に、直してよい所と、直す順番の考え方があります。新しいリターンを足す場合は、既存の支援者に分かるよう、活動報告でも知らせると丁寧です。

リターン設計は、起案者の持つ素材や、届けられる範囲によって、ぴったりの形が一つひとつ違います。クラウドファンディング支援では、プロジェクト設計とリターン設計を、一緒に組み立てる形で支援しています。ご自身の企画で三段をどう作るか、迷ったらクラウドファンディング支援の公式ページから、お問い合わせフォームまたはLINE(AtoNO Records)でご相談ください。

よくある質問

リターンはいくつ用意するのがよいですか?

最初は、入口・中心・特別の三段、合わせて三つから五つほどで始めるのがおすすめです。届けられる範囲を超えないことを優先して、必要に応じて足していきましょう。

リターンなしで応援してもらうことはできますか?

利用するサービスの仕組みによって異なります。お気持ちだけで応援する形が用意されているかどうかは、ご利用予定のサービスの案内でご覧いただけます。

金額に迷うときの目安はありますか?

リターンにかかる費用と、企画に必要な金額の二つを書き出すと、判断しやすくなります。友人や家族に、自分ならどの金額を選ぶかを聞いてみるのも役立ちます。