開業の準備

お店や宿の開業をクラウドファンディングで応援してもらう進め方

 文:CROWDFUNDING SUPPORT 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

お店や宿の開業は、完成する前から応援してもらえる挑戦です。物語の書き方、リターンの考え方、途中経過の見せ方を順に紹介します。

お店や宿の開業をクラウドファンディングで応援してもらうには、完成した姿ではなく、できあがっていく過程を見せるのが効果的です。開業前の段階では、まだお客様に来てもらうことができません。けれども、これからできる場所の物語を聞いて「開いたら行ってみたい」と思ってくれる人は、きっといます。この記事では、開業の物語の書き方、リターンの考え方、準備の途中経過を伝える発信を、順番に紹介します。

開業のクラウドファンディングが向いている理由

開業の挑戦には、クラウドファンディングと相性のよい特徴が三つあります。

  • 場所が決まっているので、応援する人が景色を思い浮かべやすい
  • お店や宿の「最初のお客様」になる楽しみを、お返しにできる
  • 改装や準備の過程そのものが、発信の材料になる

クラウドファンディングは、お金を集めるだけでなく、開業前から「お店の仲間」を増やす方法でもあります。応援してくれた人は、開業の日に足を運び、友人に紹介し、お店を育ててくれる存在になります。開業の資金づくりと同時に、最初のお客様づくりが進むのが大きな魅力です。

2023年に挑戦した伊豆山の野外ステージづくりは、CAMPFIREで173人から1,000万円以上の応援をいただき、CAMPFIRE 静岡県まちづくりランキング2023年1位になりました。場所の未来を想像して応援してくれる人がいることは、この実績が示しています。

開業の物語の書き方

開業のページでは、次の順番で物語を組み立てると、伝わりやすくなります。

順番書くことポイント
一どんな場所を開くのか一文で、メニューや泊まり方、過ごし方を伝える
二なぜその場所なのか地名や建物への思い入れ、出会いのきっかけ
三どんな人に来てほしいか目の前に浮かぶ具体的なお客様の姿
四今の準備の状況写真つきで、改装や仕入れの進み具合
五支援金の使い道内装、設備、備品など、分かる範囲で内訳を示す

「どんな人に来てほしいか」は、とくに大切です。「仕事帰りに一杯だけ立ち寄れる店」「旅の途中で静かに海を眺められる宿」というように、過ごし方が見える言葉を使います。読み手は、その場面に自分を重ねて、応援したくなります。

リターンは、開業後の体験を中心に考える

開業のクラウドファンディングでは、お店や宿での体験が、いちばん喜ばれるお返しです。たとえば次のような形があります。

  • 開業を祝う会への招待
  • お店のお食事券、またはお茶の券
  • 名前を記した記念の掲示
  • 開業前の見学会、準備中のお店を案内する時間
  • お店ならではの手づくりの品、地域の品

リターンを決めるときは、届ける時期と、提供できる数を必ず見積もります。たとえば開業が遅れた場合を考えて、体験の券には有効期間を余裕をもたせて設定すると、支援者にとっても安心です。宿の場合は、泊まれる条件や提供できるサービスの内容を、そのときの正確な情報で書くことが大切です。まだ確定していない内容は、確定してから載せる形にします。リターンの考え方は「クラウドファンディングのリターン設計」の記事も参考になります。

準備の途中経過を、発信の材料にする

開業準備の毎日は、発信の材料の宝庫です。公開中も、公開前も、準備の様子を少しずつ見せましょう。

見せやすい場面の例

改装の前と後を同じ角度から撮った写真、壁を塗る様子、看板の文字を決める場面、メニューの試作、仕入れ先との出会い、備品を選ぶ時間など、開業までの小さな出来事が物語になります。仲間の一言を添えると、人の温かさも伝わります。

完成を待たずに、見せていく

完成してから公開するのではなく、途中の姿を見せることが、応援する人との距離を縮めます。「ここまで進みました。次は〇〇です」と報告を重ねると、見ている人が一緒に作っている気持ちになります。公開中の活動報告やSNSの投稿で、準備の進み具合を定期的に伝えます。

お金の使い道は、種類ごとに見せる

支援金の使い道は、種類に分けて書くと、読み手が納得しやすくなります。内訳を細かく出しすぎず、項目ごとに「何のために必要か」を一言添えます。

項目書き方の例
内装・改装お客様が長く過ごせる、居心地のよい空間をつくるため
設備・備品開業の日から、いつものおもてなしができるようにするため
看板・案内初めての人が迷わず来られるようにするため
広報・撮影開業の知らせを、多くの人に届けるため
クラウドファンディングの運営費リターンの制作や発送、手続きのため

使い道を示すと、応援が形になるイメージが湧きます。目標金額を超えた場合に何を加えるかも、あらかじめ書いておくと、さらに応援しやすくなります。たとえば「目標を超えた分は、お客様のための椅子と食器に充てます」というような一言です。

開業の物語では、迷いや苦労も隠さずに語ると、応援の気持ちが深まります。場所探しに時間がかかったこと、仲間と意見がぶつかったこと、それでも続けた理由。そうした正直な歩みは、読み手に「この人の店を見届けたい」と思わせる力があります。うまくいった話だけを並べるより、乗り越えた場面を一つ添えるほうが、物語に奥行きが出ます。

お客様の目線で、ページを読み返す

ページを書き上げたら、まだお店を知らない人になったつもりで読み返します。場所がどこにあるか、どんな時間を過ごせるか、どんな人たちが迎えてくれるかが、短い時間で伝わるでしょうか。開業の日に、自分がお客様として訪れたくなるかを基準に、言葉や写真を見直します。

読み返すときの質問を、いくつか挙げます。このお店(宿)の一番の魅力は、冒頭の三行に書かれているか。写真を見ただけで、居心地のよさが伝わるか。リターンの中に、自分が選びたいと思うものがあるか。開業の日の様子を、具体的に想像できるか。四つに「はい」と答えられたら、ページは準備が整っています。「いいえ」が付いた箇所は、文章を足すか、写真を差し替えて磨きます。

開業の日までの流れをそろえる

クラウドファンディングの終了日と、実際の開業日の関係も、計画の段階で整理しておきます。支援を募る期間、支援金が届いたあとの工事や準備の期間、開業日、支援者を招く催しの日を、ひとつのカレンダーに並べます。支援者へのお礼状と、リターンの案内の準備も、並行して進めておくと安心です。終了後の報告の進め方は「クラウドファンディングが終わったあとに」の記事で紹介しています。

開業の物語を、一緒に形にします

CROWDFUNDING SUPPORTは、お店や宿の開業を含め、音楽、教育、まちづくりなど、思いのある挑戦に伴走しています。ご相談の流れは、挑戦したいことと時期をうかがうところから始まり、設計、準備、公開・伴走、報告へと進みます。料金は固定の表がなく、プロジェクトに応じてお見積もりします。公開したい日の90日前からの準備が目安です。

ページの公開と支援金の受け取りは、起案者ご本人(団体)の名義で行います。私たちは言葉と段取りの面から寄り添います。オンラインで全国からご相談いただけます。

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